●● 蜂刺され症 ●●


■蜂刺症の現状   
蜂刺症の対象となる蜂類としては、わが国では、スズメバチ類16種、
アシナガバチ類11種、ミツバチ類2種、マルハナバチ類14種が知られています。長野県佐久総合病院の報告によりますと、受診患者のピークは8月に見られ、全体の約9割が7〜9月に集中しています。この時期はスズメバチ、アシナガバチ類では巣のサイズが最大規模に達しており、働きバチの巣を守る防衛行動も高まっています。各都道府県からの報告を厚生省がまとめた衛生害虫発生状況の統計では、ハチ類の相談および駆除依頼件数は、シラミ類、ダニ類、ネズミ類などに関する件数を超えて、最近ではトップを占めており、10年前と比べ約9倍に増加しています。このような急激なハチ類発生数の増加傾向は、都市部近郊において人の居住地域がスズメバチやアシナガバチ類の生息域に隣接または入り込んだこと、以前と比べアウトドア・スポーツ人口の増加等による人の野外活動が盛んになったこと、小型、中型スズメバチ類の重要な天敵であるオオスズメバチの数が都市部近郊で最近減少している等の諸要因が関わっていると考えられています。

■蜂にさされないようにするには
(1)巣に近づかない、巣に石を投げたり、つついたりして蜂を刺激しない。
(2)巣の前を急いで横切ったり、振動を与える等急激な動作を避ける。
(3)巣の近くで芳香のある香水、ヘアスプレ−、その他化粧品を使わない。
(4)純毛製品や黒い衣服は、刺されるので、こんな服装で巣に近寄らないこと。  
(5)蜂がいる場所で、熟した果実やジュ−ス等甘味料を飲まないこと。
   (蜂は、木の樹液や、甘いものに集まってきます。)
(6)洗濯物をとりいれる時は、蜂が潜んでいないかよく点検する。
(7)駐車中の自動車の窓は、必ず閉めておく。
(8)野外活動中にスズメバチ類の巣と突発的に遭遇し、見張りの蜂に威嚇や攻撃を受けた場合、大声で騒いだり、腕でハチ類を追い払う事は厳禁です。姿勢を低くして巣から速やかに離れる事が重要です。

■ハチ毒アレルギー、その対策
ハチ類の毒成分は大別すると酵素類、ペプチド類、低分子物質の3つが知られています。これらの成分は結合組織破壊、血圧降下、細胞膜透過性亢進、痛み、平滑筋収縮などを起こすことが知られており、蜂刺しによる毒液注入によってこれらの物質が総合的に働いて激しい諸症状が出現します。
 I型アレルギーを呈する患者(IgE 抗体産生)は、過去に同じ種または近縁の種のハチに刺された経験を持つ場合が多いのです。毒液中の酵素類はハチ類で部分的に共通したアミノ酸配列を持つことから、ある種の毒成分に対してIgE 抗体を持つ複数種のハチ毒に対するアナフィラキシー(急激なアレルギ−反応)の惹起にも十分注意する必要があります。アナフィラキシーは、一般には刺されてから、15分以内に起こります。全身症状が起こる場合は、まず、のどがつまった様な感じがして、胸苦しくなる。そして、口が乾き、口の中がしびれた様な感じとなります。腹痛・下痢・寒気・嘔吐・頭痛・めまい・喘鳴(ゼ−ゼ−)し、全身がむくんできます。さらに重症化しますと、息苦しく、物が飲み込めなくなり、声がしわがれ、ショック状態となり、意識がはっきりしなくなり、尿・便の失禁を生じます。血圧は、急激に下がりますので、一刻を争って救急病院への搬送を必要とします。ごく稀れに、刺されてから、翌日あるいは、遅いと10日程経ってから起こる全身症状もありますので、蜂に刺されたら、医師の診察を受けておくのが安心です。